ありがとう
ピンポーン・・・。
玲の家のチャイムを鳴らす。
ガチャ・・・。
すると、ジャージ姿の玲が出てきた。
『玲!おはよ!』
私はすかさず挨拶した。
すると玲は少しだけ微笑んだ。
何ヶ月ぶりだろう。玲が微笑むなんて。
玲の部屋は二階にある。
白やベージュといったシンプルな造りになっていた。
『玲。何かあった?私で良かったら、聞くよ?』
私は真剣な顔で玲に話しかけた。
玲は・・・戸惑っていた。
何を話したらいいのかわからないようだ。
目には涙が溢れている。そうとう辛かったみたいだ。
そりゃあ、そうだよね。
父親はいない。いじめられる。
そりゃあ苦しくなるよね。死にたくなるよね。
だからこそ、話して欲しい。
辛いこと、全部話して欲しい。
私は心からそう思ったんだ。