ぽ ん ス ケ
「えっ…?」
おぉっ!圭織のやつ、すんげぇ驚いてるー!!
そりゃ~そうだよなぁ!ちょっと前まで
動物が人間の言葉を喋れる機械を作るって、博士号まで取ったのに大学院抜け出して、ずっとこの小さなログハウスの地下で研究してたんだもんなぁ~
「ねぇ、その子、よく見せて。」
圭織は真剣なまなざしを向ける。
研究者の目ってやつかな!?
「おう!ちょっと自転車にビックリして気絶してるけど、起きたらまじで日本語喋るぞ!」
「・・・。」
圭織はすみずみまでニャースケを見た。
「おーい、ぬいぐるみじゃねーぞ♪ってかまだ喋ってもねーのに、興味深々だなー!」
「・・・やっぱり・・・このたぬき・・・あのときの・・・」
「ん?なんか言った?」
「いっいや、なんでもない!
ね、この子、地下でじっくり観察させてよ!」
「おぅ!そのつもりだよ。そのニャースケさぁ、自分はことばなんか喋ってないとか言うんだよ。俺が幻聴聞いてるんじゃないって、ちゃんと証明してくれよ!」
「う…うん。ねぇアンタ預かってるペットたくさん居るんでしょ?この子を観察したらアンタの家に連れて帰るから、先帰ってていーわよ!」
「えー、俺もニャースケ観察したい」
「だめ!わたしの地下研究室は立ち入り禁止よ!」
「ちぇー。わかったよ。」
まぁ確かに病気持ちの犬も猫もたくさん預かってるし…
あんまり空けとくのもマズいよな。
「じゃ、優しく観察してやれよ!」
「はいはーい!」
バタン・・・
圭織はニャースケを抱いたままドアを締めた。