『アリガトウ』と言いたくて。
≪凌央Side≫

「長くなってもいいから教えて」

悠優があまりにも必死に聞きたがるから

俺は話し始めた。




俺には,彼女がいる。

名前は一宮 萌未(イチミヤ メグミ)。

同じ高校の同級生。

彼女は,少し問題児だった。

…万引きの常習犯だったのだ。


俺は,萌未に告白されたとき

正直悩んだ。

だが,

『付き合ってくれたら万引きを止める』

と萌未が言うため,俺は

萌未に万引きを止めさせるのが目的

で萌未と付き合い始めた。


でも萌未は,万引きを止めなかった。

それどころか,

完璧に万引きを楽しんでいた。

ある日,買い物に来たとき…

俺は萌未に別れを切り出そうとした。

「萌未さー,俺との約束覚えてる?」

「凌央カタすぎー!
イマドキ普通だよ,万引きくらい」

「ふざけんなよ…っ!」

「あっ!ホラあの子もやってんじゃんー★」

そう言って萌未が指さしたのは,店内にいた

一人の女の子。

それが,悠優だった。


俺は本当に呆れた。


万引きをする人って…

こんなにたくさんいんのかよ。

ありえねぇ…
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