『アリガトウ』と言いたくて。

#04 萌未~megumi~

夢中で走っていた私。


気付くと,

人の多い街中まで来ていた。


ドンッ!!

「痛っぁー」

右肩が人にぶつかり,相手が声をあげた。

「スミマセン…」

ぶっきらぼうに謝って,

ぶつかった人を見た。

「あーこちらこそスミマセンー」

そう言ったその人。

歳は私と同じくらいかな。

髪は金色で,胸のあたりまで伸びた毛をクルクルと巻いている。

化粧も濃くて,一言で言うと『派手』。

服も薄着だし,かなり遊んでそうなイメージ。

って…相手から見たら私もそうなのかな。


「ねぇ…もしかして『悠優』サン!?」

イキナリ,その派手女が言った。

「へ!?なんでアタシの名前…」

「やっぱり!!アタシ萌未っつーんだけど…」

萌未…

萌未…


どこかで聞いたような…


私は脳みその中のファイルを必死であさった。


そして,ようやく思い出した。

「あぁ!!凌央のカノジョ!?」

「そう!えーまぢで悠優サン!?」

「まぢまぢ!てか『サン』やめてよー!
タメだし!萌未って呼んでいい??」

私の長所は,誰とでも仲良くできること…
なんだ,と改めて思った。

特にこういう外見の子には遠慮しないでいいから助かる。

「もちいいよぉ!
アタシ一回悠優に会ってみたいなーって思ってたの!」

「まぢー嬉しい!笑」
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