『アリガトウ』と言いたくて。
≪凌央Side≫
バシッ!!
その音に続いて,「最っ低!」と言い捨てる俺の彼女…いや,正しくは『元彼女』の萌未。
俺は,たった今萌未に別れを告げた。
と言うか,悠優が俺より先に萌未に伝えたらしい。
俺が幸せにしたいと思うのは,
悠優だけなんだと。
自分勝手だとは思うけど…
これが,俺の本音だから。
□
その後,俺は悠優にフラれることとなった。
両想いなのに。
悠優はいきなり『付き合えない』と言ってきた。
何があったかはわからない。
父親の転勤だと言っていた。
一方的に別れを告げた悠優は,振り向くことなく走り去っていった。
でも俺は
あの時確かに,
悠優の目に光るものを見たんだ。
理由はわからないけど,俺は悠優を信じてる。
悠優が,一人で悩んで出した答えなのだから…
間違っていたとは言わないよ。
よく,頑張ったね。