この世の果て
「・・・ウ!」




「・・リュウ!」




遠くで、ルナの声が聞こえてる。


僕は重いまぶたを開ける。

「リュウ、おきてよ。」


「───どうした?ルナ。」

太陽のような笑顔で、彼女は僕の顔を覗きこむ。

太陽なんて、もうしばらく見ていないけど。


「これ、みてよ。」

ルナの手には、しわしわの草が握られていた。


「・・・どうしたんだ?これ。」


「いえのまわりにはえてたの。リュウにみせたくて・・・かわいそうだったけど、とってきちゃった。」

そういって、僕の手にそっと、その草を握らせる。
しおれたそれは、緑というよりは、黄土色に近かった。

「ありがとう。」


僕はぎこちなく微笑んだ。

笑えるのは、ルナの前だけだ。






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