この世の果て
「どうして?」


ルナはベッドの中で小さく首を傾げた。

僕はルナの頭を撫でる。


「よこしまな気持ちをもつ者は、砂漠に足をとられて沈んでしまうんだ・・・心のきれいな人にしか、砂漠は渡れないからね。」


「よこしま?」


「悪い考えのことだよ。」

ふぅん、とルナは言ってはみたが、あまり理解していないようだ。


「月の砂漠を抜けると、今度は悲しみの森が、僕らの前に立ちはだかるはずだ。」

「かなしみのもり?」


「深い、深い、針葉樹の・・・背の高い、尖った木の集まりだよ。普通の人がそこを通ろうとしても、まず無理だ。心に深い悲しみをたたえた人しか、その森を通ることができない。」


「かなしみをもってないひとは?」



「森の中で迷って、出られなくなるんだ。ぐるぐる同じところを回り続ける。力尽きるまでね・・・。」


ルナは小さなため息をついた。





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