この世の果て
家を離れると、僕とその仲間達は相変わらずだった。
例の女は、既に正気を失いつつあった。骨と皮だけの体は、かつての愛らしい面影を全く残してはいなかった。
「あいつ、そろそろ潮時じゃね?」
リーダー格のケンが、ぼそっと耳打ちしてきた。
「こないだ、俺なんて耳噛み切られかけたしさぁ。」
彼の耳には、確かに赤く歯形らしきものが残っていた。
「なんかブツブツ言うしさ、正直こえーよ。」
耳を澄ましてみると、確かにぶつぶつ言っている。
・・・さま。
・・・たまえ。
・・・よ・
・れを・・けたまえ・・
神よ
天地におわします
我らが神よ
助けたまえ
救いたまえ・・・