この世の果て
「・・・あらぁ?」


ルナの替わりに、ベッドに座っていたのは、僕らのアジトに住んでいた、あの女だった。


僕は無言で、女の胸ぐらに掴みかかった。


「・・・っ」


「ルナは、ルナはどこだ!」


「答えろ!」



女の手が痙攣を起こしかけたため、僕は、ぱっと手を離した。


げほっげほっ・・・という濁った咳をした後、女は僕を見上げた。

焦点は、合っていない。


「ルナは・・・どこだ?」

女はくっくっと笑う。

「何がおかしい?」


「私はぁ、お祈りにきただけよ・・・?」

そう言って窓際に置いてある、顔の半分がない女神像を撫でた。


「美しいのね。まるで聖女様みたいに・・・」



うっとりとした顔つきで、撫で続ける。


「この・・・教会に捨てられた私を・・・拾ってくれて・・・」


「ルナはどこなんだ!」


女の頬を叩く。


尚も笑い続ける女。


僕は限界寸前だった。



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