この世の果て
そんな風にして何年かが過ぎて───


ある日、ぱったりと空から爆弾が落ちてこなくなった。


もう、その頃には濁った大気のせいで、空は青色ではなく、ねずみ色に変わっていた。


僕はその空を眺めながら、戦争が終わったことを、悟った。


そうして僕は、くる日もくる日も、父を待ち続けた。
帰ってきたら、彼に何て言おう?

心優しい父は、今度のことに相当参っているだろう、傷ついているだろう・・・
そんな心を癒す、とっておきのスープを作ってあげよう。

父のとびきりの笑顔を想像しながら、僕はひたすら半分ほど焼けた、小さな家で彼の帰りを待ち続けた。


そして、ある日。


左腕のない兵隊さんが、この家を訪ねて、やってきた。



< 8 / 72 >

この作品をシェア

pagetop