*俺だけのマドンナ*
次の日、店に優衣は来なかった。
かわりに綾子が来ている。
「昨日は悪かった。」
「いいよ。あの子はまだまだ子供ね。レイトのこと、本気で好きになっちゃったんだね。」
「突き放したよ。客が一人減ったな。」
「あはは!レイトは一見、恋人のような付き合いかたをするけど、あくまでも客なのよね。私、レイトのそういうとこが好き。あ、一人のホストとしてね。」
「わかってるよ。優衣も綾子みたくそう割り切ってくれりゃいいんだけど。」
「あの子はまだ若いから、常に真剣よ。ホストにハマるなんてまだ早かったわね。」
「あぁ、そうだな。」
「ってそんなこと言ってるレイトもまだまだ二十歳でしょ。随分貫禄でてるよね、ホストとしての。」
俺は苦笑いで返した。
ナンバーワンという肩書きに
俺は知らず知らず
自分を作り、ホストとしての
自分を保ってきたのかもしれない。
いつもの俺じゃ、
ナンバーワンなんか勤まらねーし、
やっぱりホストの俺は
本物の俺じゃない。
まぁホストはおもしれーから
辞める気ないけど。