*俺だけのマドンナ*
「‥イヤッ‥‥‥」
アリサがポツリとつぶやいた。
そう聞こえた瞬間、
俺の拳は男の腹を殴っていた。
「うっ‥‥!」
「アリサ、来い!行くぞ!」
アリサはタクシーから降り、
俺のあとを必死で着いてきた。
俺の店の裏まで走った。
「はぁ‥‥はぁ‥‥」
「‥‥わりぃ。なんか俺、たぶんとんでもねーことしたよな。」
「‥‥‥ううん。ありがと‥‥」
「大丈夫か?」
「うん。あたし、困ってたの。あの人、ホテル行こうとしてたっぽいから。」
「やっぱりな。」
「大丈夫だよ。一人くらい減っても平気。それにべつにナンバーワンじゃなくなってもいいもん。疲れるから‥‥」
アリサは下を向いてため息をついた。
こいつ、相当きてるな。
精神的に疲れてんだろうな。
俺はてきとうな性格だから
ナンバーワンでも気を張ったりはしない。
「アリサ、送ってくから。歩けるか?」
「え?悪いよ。大丈夫、一人で帰れます。」
「ちょっと歩くけど、駐車場に車止めてあるんだ。送るよ。」
「‥‥ありがとう。」
俺はアリサを連れて駐車場まで行った。