平凡な憂の非日常

沈黙

「まずは、渡辺さん、この人は僕の彼女じゃないですし

僕不在で部屋に入っておきながら、この女と仲良くなってるし

しかも、その右手に持ってるビールは僕のじゃないですか?」


「リナちゃんが、どうぞって言うから…」


僕は、自称リナに目線を移した。


「だって、お父さんやと思ったから、なんか飲み物ださなアカンと思ったんや…」


「この部屋の間取りと荷物で一人暮らしだと想像つくだろ!?


いや、待て

もうこの際、お前は渡辺さんのとこに行ってくれ

仲良くなったようだし」


「えぇ~~

憂は、ウチがいると迷惑なん?」


化け猫メイクで、潤んだ瞳をしてきやがった。


「迷惑です。

てか、何故に僕の名前を知っている?」


「ワシが、教えちゃった」


渡辺さんも、赤い顔してイタズラした後の子供みたいな顔をしてきた。


(僕から言わせれば、アンタらが親子だよ)


「もう、二人とも僕の部屋から出てってくれ!」


僕の言葉に、二人は黙った。


化け猫と酔ったオッサンと僕


奇妙な3人組は、静かに時間の進む音を聞いていた。
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