俺はヘタレなお試し彼氏。
『高梨はずっとちゃんとした完輔の答えを待ってんだぞ?』


頭の中で繰り返される。


「かんちゃん?どしたの?」


俺が言わなきゃ…。


この…毎日ポケットに入っている彼女の証を渡して…。



「あのさ…1年前言ってたよなぁ?」


「え?」


「『どうしても彼女として無理だって思ったら…ふってくれていい…

でも…ちゃんと彼氏になってくれるって思ったら…その時は彼女の証をちょうだい…』って。


俺、ずっと前から答え決まってた。


でも言えなかった…。


ずっと中途半端でごめんな…?」


高梨の表情が変わった。


そして…目に光るものが見えた。


「高梨…!?」


「みーふられちゃうんでしょ…?なのにかんちゃんが優しいから…」


そんな風に聞こえてたんだ…。



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