フェイク

 ・・・櫂が私のことを1人の女として見ていると気付いたのは、中3の頃、私が彼氏とキスしているところを偶然櫂に見られた時だった。

           
 今にして思えば、その偶然すら本当だったか怪しいけど、あの時の櫂の顔は今でもリアルに思い出すことができる。



 ・・・ちょうどその日は雨で、私は傘を忘れてしまい彼氏にわざわざ家まで送ってもらった。

 
 最後にキスしてから家に入ろうとした時、そこに櫂が立っていた。


 普通なら軽く笑ったりしてごまかすんだろうけど、それさえもできないくらい、その時の櫂の顔は切なかった・・・。
 
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