フェイク

 櫂が部屋へ近づいてくるのを気配で感じ、私は息を止め顔を赤くした。


「オマエっ・・・真っ赤じゃねぇか!」


 少しでも大丈夫じゃなさそうにすれば喰いついてくるのが櫂の弱点。

 そしてそれをいつも利用するのが・・・私の悪いトコ。


「・・・薬、飲めるか?」


 櫂が私に呟くようにして聞いてくる。

 私は意識があまり無いフリをして、くてん・・・とベッドの上で身をよじった。



 ・・・この時私は櫂が次、どんな行動をとるか分かっていた。
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