ただ伝えたくて
朝の10時が近づく頃、理沙は待ち合わせ場所で圭を待っていた。
「ちょっと早かったかな?」
理沙が携帯を取り出して時間を見ていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「神崎っ!ごめん!」
振り向くとそこには圭がいた。
「圭君!大丈夫、私も今来たとこだから」
「そっか、じゃあ映画見に行くか」
圭の言葉に理沙は笑顔で頷くと、2人は映画館に向かっていった。
少し歩いて2人が映画館に着いた頃は、ちょうど映画が始まるギリギリの時間だった。
2人は慌てて席に着くと、ちょうど映画が始まった。
しかし2人は、お互いのことが気になって全然映画に集中できてなかった。
2時間後……映画が終り2人は映画館を出た。
「……映画良かったね!」
理沙は沈黙を防ぐために圭に話しかけた。
「あぁ、良かったよな。そういえばご飯どうする?」
「ん~じゃあ……あそこのファミレスにする?」
理沙は近くにあったファミレスを指さして言った。
「そうするか」
2人はそのファミレスに入った。
店員に案内され2人は席に着いた。
少し時間がたち、店員が来て注文をすませると2人は会話を始めた。
少し話していると、注文した食べ物が運ばれてきた。
「ご飯食ったらどうしようか?」
圭はふとご飯を食べながら、理沙に話しかけた。
「う~ん、どうしようね?」
「……じゃあさ、俺行きたいとこあるんだけど」
圭は少し考えて言った。
「良いよ!でも、どこ行きたいの?」
理沙が聞くと、圭は軽く微笑んで言った。
「それは、行ってからのお楽しみな」
そして2人は食べ終えると、ファミレスを出た。
「じゃあ行くか」
「うん」
理沙はどこに行くかも教えられないまま、圭の後をついて行った。