ただ伝えたくて
昼休み、数人の男子が屋上にいた。
「そういえば圭って、最近女つくらないよな」
「それは告られたから、付き合っただけだし!しかも女とかどうでも良い」
彼は不機嫌な顔で言う。
「うわーお前ひでぇ」
みんなに圭と呼ばれているのは南里 圭(みなみざと けい)、理沙と同じ学校の同級生。
圭は女には興味がないが見た目が遊び人に見えるため、いつも周りには似たイメージの友達や彼女がいた。
突然ある男子が思いつきでみんなに言った。
「暇だからさ?ゲームしようぜ!くじで負けた奴があそこ歩いてる子に告ってくる」
歩いている子とは、理沙だった。
「は?嫌だし!」
圭はとても不満そう言った。
「マジ!面白そうじゃん!」
しかし、その言葉は無視され、圭は結局ゲームを行うことになった。
「じゃあ、この中から引いてくれ」
提案した男子が適当な紙で作ったくじを差し出す。
一人ずつ引いていき、ついに圭の番がきた。
圭は目の前にあった紙を引くと…動きを止めた。
「どうした?」
それに気づいた一人がたずねる。
すると圭は行ってくると怒り声で言い、さっき言っていた彼女の所へ向かった。
背後ではがんばれと言う声と笑い声が響いていた。