ただ伝えたくて
2,突然のWデート

二人の出会いから数週間がたった。


「あっ、圭君おはよう」

「おはよう、神崎」

圭と理沙は出会って初めて話したあの日から、少しずつ仲良くなっていた。




「圭って最近ちょっと笑うようになったよな」

「まぁ、理沙ちゃんのおかげだろうな」

女子の中で唯一、理沙と話すときだけ楽しそうに話す圭は、いつしか友達にからかわれるようになった。


「ちがうし!それに神崎は彼氏いるだろう」

圭は呆れた様子でからかう友達に言った。


「そういえば、確かに3年の木下智ってやつと仲良いもんな」


理沙と悟は仲が良かったため、周りから付き合っていると噂されていた。

だからどこかでそれを聞いた圭も、付き合っていると勘違いしていた。


「残念だよなー!やっと圭は本気で恋するかと思ったのに」

「どうせならさ、あの時無理にでも理沙ちゃんに、告白させればよかったな」


勝手に話を進めていくのを見ていた圭は、さすがに我慢の限界らしい。


「勝手に言ってやがれ!」


そう怒鳴ると、その場を立ち去っていった。

圭はそこらへんを適当に歩いていると、背後から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。




「圭ー!やっと見つけたぜ」

圭を呼び止めたのは、同じ2年の藤堂 正也(とうどう まさや)だった。


さっきの友達とは比べものにならないくらい、圭にとって大事な親友だ。



圭は正也に気が付くと、さっき来た道を戻って正也のところへ行った。

「急にどうしたんだよ?」

圭は不思議そうに正也に尋ねた。
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