となりんち。
「-----ひ、ゆうひ」

んー?
なんだか宏ちゃんの声が聞こえる。

「ゆうひ!起きろって。」
「んー?」

あっ!ここ宏ちゃんの部屋だった!
あたしいつの間にか寝ちゃってたんだ。

「あっ、ごめん。」

あたしはあわてて、ベッドに腰掛けた。

「ゆうひは、よく寝るよなあ。
 てか、もう7時だぞ。しかも、今日金曜日だから、
 おばちゃん、いるんじゃないの?」
「今日遅番だって。」

あたしは、少しふてくされたように言った。
お母さんが誕生日を忘れてた事を思い出したからだ。
・・・というか、宏ちゃんも忘れてる?
毎年、誕生日覚えててくれるのに。

「何すねてんの?」

宏ちゃんは、笑いながら言った。

「すねてないもん。」
「あっそ。おっ!これ、俺に?」

ベッドの側においてあったケーキの入った箱を指差して、
宏ちゃんは言った。

「っうん。今日バレンタインで、宏ちゃん誰にももらえなかったと思って。」
「マジ?サンキュー!おっうまそう。」

箱からケーキを取り出して、
小学生みたいにニコニコしてる宏ちゃんを見て、
誕生日を忘れられてる事を怒るどころか、
不意にも、キュンっとしてしまった。

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