あの日の夕日が優しかったので




・・・・・・




こんな後味の悪い日から
もうどれほどたっただろう。


クラスの雰囲気に徐々に慣れ始めた僕に
いまだ「友達」はいない。



(まぁ)



理由は僕が一番わかっている。






まず、話しかけられても反応できない。

友達という存在から遠ざかっていた僕は
なぜだろう、出そうと思った声は届く手前で
喉の奥につまってしまうのだ。

なんとか笑顔でごまかそうとしても、それがひきつってる
もんだからたまったもんじゃない。



それどころか、笑顔を作るのもアホらしくなってきた
僕はただ無表情で、冷たい目で、相手を見下しているような。
そんな態度をだしてしまう、らしい。



いや、僕に話しかけた人の顔が一瞬こわばるの
だから相当なものなのだろう。





自分から話しかけてみようと何度も試みたが
どうも、うまくいかないのだ。





こうして僕の


「友達をたくさん作って
 毎日遊んでやる」


という目標は



その意志は


転校何日目かで、いとも簡単に
達成できないことを悟ったのだ。






< 10 / 56 >

この作品をシェア

pagetop