あの日の夕日が優しかったので



「まつおか かずなり」




「ハイ」



桜舞う季節。みなが新生活に希望や不安を抱きいそがしく桜の下をかける春。




僕、松岡和也は、高校1年生として今日から過ごすことになる。






(はやくおわんねぇーかなー)



名前を呼ばれ、返事を返し、名前も知らない教師やなんとか委員会の誰さんの話を

ただぼーっと聞いているだけの入学式。

まぁ、あたりまえっちゃあ、あたりまえだが。




さほど頭が良いわけでもなく、それほど悪くはない中間にいた僕は

これまたさほどレベルが高いわけではなく、それほど低くはない高校に見事入学

したのだ。




(あの先生ドラ〇もんみたいだ)



壇上に立つ、推定50前後のドラ〇もんが「おめでとう」なんて言ってる。


(ヤバ、おもろ)



想像したらドツボにはまって、必至に笑いをこらえた。






< 3 / 56 >

この作品をシェア

pagetop