あの日の夕日が優しかったので
「まつおか かずなり」
「ハイ」
桜舞う季節。みなが新生活に希望や不安を抱きいそがしく桜の下をかける春。
僕、松岡和也は、高校1年生として今日から過ごすことになる。
(はやくおわんねぇーかなー)
名前を呼ばれ、返事を返し、名前も知らない教師やなんとか委員会の誰さんの話を
ただぼーっと聞いているだけの入学式。
まぁ、あたりまえっちゃあ、あたりまえだが。
さほど頭が良いわけでもなく、それほど悪くはない中間にいた僕は
これまたさほどレベルが高いわけではなく、それほど低くはない高校に見事入学
したのだ。
(あの先生ドラ〇もんみたいだ)
壇上に立つ、推定50前後のドラ〇もんが「おめでとう」なんて言ってる。
(ヤバ、おもろ)
想像したらドツボにはまって、必至に笑いをこらえた。