砂時計の村 夢魔の国のアリス

「痛いよ、アリス。痛い、痛い!」

またしてもバタバタと暴れる。

しかし、この子は何か勘違いしてるらしい。

確かに私の苗字は有栖川(ありすがわ)だけど、名前ではない。

私はれっきとした日本人だ。

「あ、そっか。これ夢だね」

ふと妙案が思いつき、手を緩める。

と、うーちゃんはその隙をついて、するん、と手から逃げた。

上手く地面に着地すると、

「そーだよ、アリス。これはアリスの夢だよ」

と自慢げに頷いた。

それじゃぁ、もう一回寝ればいずれ目は覚めるわけだ。

と、横になると、慌ててうーちゃんが私の服を引っ張った。

……なんで、制服なの、私。

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