高飛車女と副会長
「お坊っちゃま、おかえりなさいませ。」

いつもの様にばかでかい門をくぐり、その門からまた1㎞位歩き、またばかでかい木製の玄関を開ける。

そして目の前に広がるのは、多数のお手伝いさん、でかくて長い階段、まぶしくて仕方ないシャンデリア、でっかい観葉植物…。

お手伝いさんは俺が帰って来た瞬間、ささっと俺のほうに集まり深々とお辞儀。
どっちが年上だよ。

顔をしかめ、あきらかに不機嫌な俺に笑顔で歩みよる専属の付き人、中野…さん。
 中野は二十代後半の好青年で、付き人にしては、最年少らしい。

容姿も物腰もカンペきで、同じ男としてはうらやましい位だ。

…見た目は。

「お坊っちゃま、荷物をお持ちいたしましょう。すぐにおやつのご用意をさせていただきます。」

その言葉に顔は更に引きつる。

「いい。かばん位自分で持つし、おやつなんていらね…、いりません。」

16になっておやつって。
完全なめてんだろ、この家
中野は俺の言葉に、表情一つ変えずにいる。
完璧な笑顔。

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