高飛車女と副会長
その証拠に、亮也は嫌な顔一つもしない。

いい子ちゃんだから。

「ったく。相変わらずだなぁ、お前は。じゃ、先帰るぞー。」

しっしっと言われた通りに奴は速やかに荷物をまとめだす。

私はほうづえをついたまま、またコクンコクンとなっていた。

眠たい。今何時?

手元の腕時計を見る。

4時57分…。どおりで明るいと思った。
後ろの窓に体を向けて、広い運動場を見つめる。

走り込みをしている、野球部、試合をしているサッカー部、テニス場で練習するテニス部…。

まだまだ騒がしい。

「…はぁ。」

「おいっ。俺帰るぞっ。」

亮也の方に視線を向けるとでかいスポーツバックを肩にかける亮也の姿。

…こいつ部活入ってたっけ…??

怪訝そうに顔をしかめる。
「おいおい…。何だその顔は!」

「…亮也って、部活入ってたっけ?」

記憶が全部夢だったら楽だったかな…。

ふとそんな事を思う。

亮也は、あーと照れくさそうに頭をかいて笑った。

「オヤジのサッカー教室の方に行かなきゃいけないんだよ。」

「サッカー教室??」

「おぅ。俺のオヤジ、昔はバリバリのサッカー選手だっらしくて、最近教室開いたんだ。結構それが入ってきてさぁ。それの手伝い。」
ニカッと笑う亮也は誰か知らない人に見えた。

てかあんたのオヤジの話なんて聞きたくないし。

「あんた、ボール蹴れるの?」

純粋に興味があって聞いたのに、その言葉に亮也は表情を変えた。

「バカにすんなっつーの。ボール位蹴れるよ。お前は?帰らねぇの?」

その口振りから、他の生徒会役員は帰ったんだとすぐに分かった。

まぁ、やる事なかったし。
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