高飛車女と副会長
ずっと探していたのだ。

それはもうずっと。

男はずっと私を見ている。うっとうしい位。

顔はよくても、人からじろじろ見られるのは好きじゃない。

私は真っ直ぐ玄関まで行くつもりだったが、あまりに奴がじろじろ見てくるのでやめた。

左手に階段がある。ついでなら霧を探してこよう。

聞きたいことができた。

そう思い、私は方向を変えて階段を昇る。

ふと、悪知恵が働いた。

からかうつもりはなかったけど、素通りするのもどうかなと。

なら、力量を測ってみよう。

私は急に足を止め、振り返った。

案の定、彼と目があった。ここで笑ってみる。私が笑ったら大抵の男は、目を離さない。

ほら、引っ掛かった。

何だか心の奥底から、不思議な感情が沸き上がってきているのを私は気付いてはいたが、知らないフリをした。

知らない方がいいと、危険信号が出ている気がした。
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