高飛車女と副会長
「訓練ねぇ。前から思ってたんだけど、何でお前ここの付き人になったんだよ。そんだけ器用なんだから、他の仕事もいけると思うけど」

これは前々から思っていた事だ。

中野は器用で、頭もいい。
それくらいの奴が、何で俺の世話やってんだ?

中野は俺の問いかけに、面倒くさそうに深いため息をはいた。

長年積み上げてきたつみきを壊すような、そんなため息だった。

「俺だって、初めはお前んとこの会社に、社員として勤めようと思ってた。けど、お前のオヤジに初めて合った時、いきなりこう言われたんだよ。"お前は器用そうだから、人間の世話をした方がいい"ってな。だからなった。」

……。

「なぁ。」

「あ?まだ何かあんのかよ。それより早く食えっての。」

そんな中野の言葉は無視して。

「お前ってさ、普段どうしてんの?友達とか…恋人とかいねぇの?」

疑問その2
中野はいっつも屋敷にいて、滅多に外に出ない。中野は仕事の為にウチで寝泊まりしているらしいけど…休日も俺の世話や、屋敷の整備をやっていて、実際中野が屋敷から出るのを見たことがない。

友達だっているはずなのに…。
中野は食べ終わった食器を移動させ、さっさと洗いはじめた。
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