高飛車女と副会長
あのジジイかぁ~!!

軽く拳を握る。
板井さんというのは、俺が小学生の時の付き人で、お手伝いさんの中では最年長の男だ。

優しく、面倒見がいい人だが、口が軽いようだ。

…気をつけよう。

「てか、遊んでたってゆーか、勝手に女がついてくるから仕方なく…。」

何故この期におよんで言い訳する?石崎柚飛。

「何言ってんだよ。とっくに経験済みのくせに…。」

中野はニヤっと笑った。

「な……っ!!」

あのジジイ、こんなことまで喋ってやがったのか。

マジで気をつけよう。

「ま、お互い女に本気になった事はないって事で。」
パンパンと軽く手拍子をし、俺の向かい側に座る中野。
女に本気に…か。確かにない。恋愛というものが、人にどういう影響を与えるのか…。
それさえも分からない。

そんな事をいったら、普通の人は"この世間知らずの坊っちゃんが"と、見くびってくるだろうから口には出さないが。
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