恋文【短編】

「……先生、それって」

私が立ち上がって、

先生の顔をのぞき込もうとすると

先生はあーっ、と声を上げて頭をかいた。

「だから、来週、お前が卒業したら、な」

俯いた先生の顔が赤くなっていた。

日はもう沈んでいて、

野球部の掛け声も聞こえなかった。
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