怪盗ブログ
けれどそのまま落ちることはなく、十星の右手があたしの頭を支えていた。


「……離してよ」


「え、頭ぶつけちゃうでしょ」



「いいから。もう離して……」


涙が出た。


『女として見られてない』



何度も感じてきた不安だった。



ちゃんとしたキスは仕事後にするくらい。
抱きしめてくれることもほとんどない。

大切には、されているけれど。
されていると思うけど。



十星としたキスの方が、絶対、多い。
気がする……

出会って間もないのに。




好かれている自信はあった。
根拠だってある。



「……あたしは、大貴の特別だもん」




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