怪盗ブログ



リビングでは大貴がコーヒーを淹れていた。


「おはよ。お待たせ」


「おはよ。おまえ夜中何やってたんだ?」

突然の問いかけに一瞬、息が止まった。


「……え?」


「なんか、話し声みたいな」


あたしは頭が真っ白になる。

十星との話きかれたの……?


「電話でもしてたのか?」


思いがけず大貴の方から助け舟が出されて

「あ、うん。そうなの。うるさかった?」

安心して話を合わせた。


「最近優菜がよくかけてくるんだ」


「夜更かしすると腕の治りが遅くなるぞ」


「うん。気をつける」



……朝から心臓に悪いことばかりだ。




大貴がテーブルに用意してくれていたのは、納豆、味噌汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、ご飯だった。


「手伝えなくてごめんね」


あたしはぼそっと言った。


「ん?」


「料理とか、家事。いろいろ手伝って貰ってるし」


「ああ」

「治ったら3ヶ月間全部千夏が当番だな」


「……」



「冗談」



そんなことを話しながら朝ごはんを済ませた。



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