怪盗ブログ

「それで待っていてくれたんですね。
ありがとうございます」


あたしと副部長は寮に向かって歩き始めた。

しんとした夜の空気の中で会話するのは、何だか気恥かしかったけれど。
沈黙に耐えかねてあたしから口を開いた。


「今日の試合は接戦でしたね」


「ああ。白熱したな。ほんと疲れたよ」


「明日は男子部休みですよね。ゆっくり休んでくださいね」


「ありがとう」

副部長は優しい笑みを浮かべた。


「今日は高瀬のお陰で勝てたようなもんだな」


「最後のやつは凄かったですね。ちょっと鳥肌たちました」

あたしは苦笑いをする。


少しの間を空けて副部長は呟いた。

「……内藤は」
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