怪盗ブログ
ベッドに座るのは躊躇われたので出窓に座った。
寝室もキッチン同様片付いている。
一体どういう生活をしていたら、こんなに偏った片付き方になるのか見当もつかない。
半ば呆れながら暗い部屋の中を見回すと、机の上にエンゼルランプの鉢植えが2つあることに気付いた。
自分で育ててたんだ。
てっきりおばあちゃんからくすねているのかと思っていたのに。
「泥棒のくせに、変なの」
呟いて、ふと窓の外に目をやった。
寮の駐車場に見慣れた黒い車が入ってくる。
その様子をぼんやり見ながら、非常にまずい状況だとやっと気付いたのは大貴が車から降りるところだった。
「……大貴!?」
あたしは立ち上がりドアに駆け寄ると思い切り叩いた。
「まだ終わってないよー」
ドアの向こうから声がする。
状況を説明しようとして頭の中を言葉がぐるぐる廻り、わけがわからなくなったあたしは叫んだ。
「トイレ!!!」
最近、とっさの嘘が上手くなった気がする。