怪盗ブログ
にっこり笑う十星を見て、あたしはすぐに肩の力が抜けてしまった。
何なのこいつ……
むかつく。ありえない。
けれどやっぱり切迫感から解放されての安堵が大きい。
気持ちは落ち着いてきた。
「……部屋きれいになったね」
リビングを見回して言った。
「怒らないの?」
「めんどくさい」
「……千夏さんそれ逆にひどい」
焦って疲れたんだもん。
あたしは縛られた手なんか気にせずに十星を引っ張ってソファまで行き、どさっと座った。
つられて十星もあたしの横に座る。
あたしの縛られた左手は十星の足の上にあった。
「帰らないから外してくれない?」
「まだダメ」
まだって何だ。