怪盗ブログ
やだやだ……!


必死に抵抗する、と言ってもあたしは足をばたつかせるくらいしか出来なくて。

そのうち、力負けしそうになった頃


「うっ……」


どうやら足が急所にヒットした。


唇を重ねたまま固まる十星。


あたしは力が緩んだ隙に顔を横に向けて唇を離した。



「…使い物にならなくなったらどうすんの……」

辛そうな声を出す。


「なっちまえ!」

あたしは半泣きで怒鳴った。


十星は辛いのか、ゆっくり起き上がるとあたしを黙って放した。

そして叱られた子犬のような目をしてあたしを見つめて正座し

「ごめん」

と言った。


「謝って済むかバカ!」

素直に謝る姿に一瞬驚きながらも、あたしはまた怒鳴った。

すると更に体を小さくさせて、ぽつりとぽつりと言った。

「今日は」

「反省してた」

しゅんと肩を落とす十星。


「はあ?」

「昨日泣かせたから」

「え」

「女として見られてないって言ったら泣いたでしょ」


……そのこと。
それで反省、というわけ。


「さすがに、言いすぎたのかと……」


って、おかしいでしょうが。


「……ねぇ。反省してこれってどういうことなの」

あたしの目はさっきのことでまだ涙目になっている。


「……つい」

「……」



『つい』ってあんた。
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