怪盗ブログ


「あれ、嘘」



十星は唇であたしの耳に触れて、なぞる。

「や……っ」


思わず声が出て、怖くて体が震えだす。

それは、そのまま首筋をなぞり、鎖骨のあたりで止まった。


十星は右腕をあたしに回したまま、左手を制服のリボンにかけた。


その手の動きから目を背けるように、あたしはかたく目を瞑った。

そのときだった。
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