怪盗ブログ
やっと視線が交わるのをやめたとき、目をそらしたのは、あたしではなく大貴だった。
「帰ってきたとき、あの部屋にいるおまえが見えた」
「初めは友達の部屋かと思った。でも、いつだったかあの部屋の前を通ったときに見た表札の名前に覚えがなかった」
大貴は淡々と話し続ける。
「気になったんだ」
「寝る前に様子を見ようと思って行ったら」
逸らした視線を、あたしに戻す。
「おまえとあの男が見えた。あの男は、あの部屋にあった本を見る限り同業者だろ」
「そして、おそらく」
言いながらあたしに近付く。
「この痕を見る限り」
あたしの首に触れた。
「あの男は、十星だ」