怪盗ブログ
この日みた夢の中は、大雨だった。
あたしはずぶ濡れで、大きな木の下で雨宿りしていた。
僅かに雨を凌いでも、体はどんどん冷えていく。
遠くに見える木には日差しが差していた。
あそこは雨が降っていないの?
あの場所はきっと暖かい。
けれど、そこはとても遠くて、たどり着く前にあたしは凍え死んでしまう。
ここに居ても、いつかは死んでしまう。
『なら、あっちへ行こう』
誰かが囁くけれど、あたしは独りでは動けない臆病者だった。
あたしは臆病な自分に理由をつけた。
「みんながあっちへ行ったら」
「この木が可哀想」
死にたくはないの。
誰かが迎えに来るのをずっと、待ってる。
傘を差して、この木を切り倒して、あたしの手を取ってくれるのを。
傘から覗かせたその笑顔は、あなたでしょう?