怪盗ブログ
あんまりだよあたし。
自分にがっかりだ……
恋人のお父さんの顔忘れるなんて……
しかも家はあの会沢。
覚えてないなんてあたしどうかして……
「って……え!?じゃあ十星って次大貴の実家狙ってるの!?」
「らしいなぁ」
大貴は再び箸を持って食べ始めた。
十星の仕事、ついてかなくてよかった。
仲間のものを盗るなんて、井乃月で大問題になっていたところだ。
「知ってて、狙ってるのかな?」
「さぁ?」
なんか、普通なんですけど。
「心配じゃないの?実家に知らせなくていいの?」
「掛け軸が盗られたって、別に困んねーと思う」
いいのか。それで。
「でも、さ。名前に傷が付くんじゃないの?」
大貴の実家は、井乃月と関わることで裏社会に通じている。
長い間井乃月の手助けをしてきた、そういう家柄だ。
その会沢が盗みに遭ったとなれば、会沢家、延いては井乃月の評価にかかわる。