怪盗ブログ
―――数時間後
「……まだ?」
「まだだな」
時計は夜11時を回っていた。
十星は未だ動きをみせない。
そしてあたしは朝早く起きて寮を出たせいか、既に眠い。
「どうしよ。マジで眠いです……」
隣に座る大貴に寄りかかる。
あたし達は大貴の部屋で"十星が現れた"という連絡が入るのを待っていた。
「寝たら十星の盗みが見れないだろ」
「……そうなんですよね」
眠くてぼんやりした頭を働かせて、あたしはずっと考えていた疑問を口にした。
「もし十星を捕まえたらどうするのかな」
「警察には連れていけないからな」
「だよね」
警察に井乃月のことを話されたら、後々面倒。
話されたところで、あたしたちが井乃月だという証拠は何もないのだけれど。
仕事の時警戒されるのは少し困る。
「……取り込むとか?」
「えっ」
十星が大人しく井乃月に入るだろうか。
どうだろう。
なんとなく、取り込まれてくれそうな気もする。
「まあ、本家が決めることだからな。俺は知らん」
会話終了。
まずい。
このままでは睡魔に負けてしまう。
「そういえばあたし十星に聞きたいことがあるんだ」