怪盗ブログ


一体何……?


誰も、一歩も動かない。


一方家の中では、割れた窓の応急処置に使用人が奔走しているらしい。
薄くなった煙の中を動き回る様子が見えた。


「今度いいこと教えてあげる」

十星はあたしの耳元で囁いた。


「千夏が知りたがってたこと」


あたしの体を抱える腕の力が強くなる。


「く…るし……っ」


その力に反して、声は甘く優しい。


「いつでも聞きにおいで。全てを見せてあげるから」

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