怪盗ブログ
食べ終わると少ない荷物をまとめて玄関に立った。
そこで見送りのために待っていた大貴のお母さんが言った。
「お父さんを起こしてきなさい。どうせまた何年も帰ってこないつもりでしょう?」
「……わかった」
大貴は渋々、けれど言い返すこともなくその言葉に従う。
「千夏さんは私とお話でもしていましょう」
こ、こわい……!
歩きだした大貴の後を追おうとしたところを止められた。
さっき大貴に聞いた話のせいで、若干の恐怖心が芽生えていた。
得体の知れない、行動が読めない、そういう存在に対する恐怖だ。
「は、はい……」
顔が強張る。
上手く笑えてるかなあたし……