怪盗ブログ


大貴はカレーと米を皿に二人分盛ると、テーブルに置き自分の方を食べ始めた。


始めから起きていたのなら、怒ることもないと思う。


『関わるな』という言葉には反してしまったけれど。

今回の場合、不可抗力というものだよ。

……たぶん。


それともあたしは全く関係なくて、十星に怒っているのだろうか。


大貴の向かいの席に座って、盛ってくれたカレーライスをあたしも食べ始めた。


スプーンと皿がぶつかる音だけが部屋に響く。


「あ、あのさ」


沈黙に耐えきれず発していた。


えーと……!


何か言わなければ。
そう思って話しかけたものの、話題が見つからない。


『カレー美味しい?』


ダメだ。


『にんじん買い置きしてなかったっけ?』


ダメだダメだ。


『夜中お父さんと何話してたの?』


聞けないいい!
立ち聞きがバレる!!


そ、そうだ!


「仕事の準備ってどのくらい進んだ?」


ガタンッ


言い終わる前に大きな音をたて、大貴は立ち上がった。

そして空になった皿を持ってキッチンへ行ってしまった。

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