怪盗ブログ
声をかけてきたのは新しく入部した高瀬君だ。
バスケ部を驚かせ、女子部員を虜にした彼はその翌日に入部していた。
「まだ部活終わってないよ?」
「……」
高瀬君は少し意地が悪いところがあるようだった。
その態度が男子部員の反感を買い、一方でどういうわけか女子部員のハートを掴んでいる。
「今日は用事があるから…」
「用事が、ねぇ。明日決勝なのに」
しつこい。
時間がないっていうのに。
仕事当日に部活に出てるだけエライと思って欲しいくらいだ。
……なんて到底言えないけれど。
精一杯の困り顔を浮かべて答える。
「高瀬くん、ごめん。今日は使用人が体調崩してるからやることも沢山あるし、早く帰ってご飯作らないといけないの」
優菜が言った。
「大貴さん?大丈夫なの?」
「うん……。途中でごめんね。
明日頑張ろう!」
「気にしないで看病してあげなよ!
じゃあ明日ね!」
微笑む優菜に少し申し訳なくなった。
そのまま部員皆に挨拶を済ませると体育館を後にした。