怪盗ブログ
大貴と合流し、春山美術館近くのラブホテルの一室で打ち合わせをする。
「潜入は閉館一時間前だ」
大貴の言葉に首を傾げた。
「閉館は十七時だよね?
十星の予告時間は二十時でしょ?」
大貴は見取り図の裏に書きながら言った。
「おまえは一時間前に潜入・潜伏し、変装しろ。今日は十星の予告の日で野次馬も多い。だからその辺りは容易いだろ。
……閉館間際には警備強化が始まる。盗むのはその時だ」
つまり……
「十星との直接対決は避けるってこと?」
「奴のお陰で今回ばかりは警備が厳重すぎる。
古典的ではあるが、かえって人に紛れて盗った方がいい。
ただし、十星の動きが分からない。
既に奴が潜入していておまえに気付けば十星も早く動くかもしれないし、もしかしたら何か仕掛けてくるかもしれない」
仕掛けてくる、か。
「今回の目的はティアラだが……」
大貴はあたしを睨むように見た。
驚いて体が硬直する。