怪盗ブログ
「ああ、さっきティアラを狙ってた解説のおねーさんだね」


背後から声が聞こえた。


背筋が凍るようだった。





あたしに歩み寄る足音がする。

大貴の言葉が再び思い出された。



「年齢16、7
 
身長158

それからなかなかの俊足だね。

もしかして井乃月のチキちゃんかな」



「な……」


驚いて振り返った。



布で顔を覆っているのではっきりとした表情はわからないけれど、黒い眼が笑っていた。


「当たってるでしょ」


「……」


「このまま行かせてくれないかなぁ。ニ人揃っておまわりさんに見つかっちゃったらどうするの?」




「ティアラ、ちょーだいよ」


眼は相変わらず笑っている。

あたしは精一杯気丈に振る舞った。


「ティアラくれたらこのまま行かせてあげる」

にこにこした眼を睨みつけて言った。



「ティアラくれるまで追いかけるから」


何も答えない十星に苛立ち、あたしは大きな声を出した。

「二人で騒ぎ起こして一緒に捕まる?それとも……」



言いかけた次の瞬間。







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