怪盗ブログ
夢、さくらのなか
あたしは相変わらず桜の枝に括りつけられていた。


緩やかに風が吹き、満開だった桜は散り始めていた。

その散る勢いに目を奪われた。


―――桜吹雪


まさにその言葉が相応しい。



あたしは手首の痛みも忘れて見入っていた。






突然


桜は散るのを止めた。
風だけが変わらず流れていた。



瞬きをすると、そこには十星の姿があった。


何しに戻ってきたの


そう言いたいのに声が出ない。

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