怪盗ブログ
体が火照る。
大貴にこんなことをされたのは初めてだ。
大貴は手をあたしの顔に添えた。
その仕草に体が反応して強張る。
十星の手の感触を思い出した。
あたしの様子を見て大貴は言った。
「怖かっただろ。こんなことされて」
『怖かっただろ』
この言葉に涙が出た。
恐怖の記憶をせき止めていた何かがどかされたように、一気に溢れだす。
怖かったよ。
腕を折られて、縛られて、怖かった。
けれど言葉にはならなくて、ただ涙が溢れる。
そんなあたしを抱き寄せて、大貴はずっと頭を撫でてくれていた。