怪盗ブログ
―――夜
あたしはいつの間にか眠ってしまっていたようで、窓の開く音で飛び起きた。
強い風が吹きこみ部屋を散らかす。
あたしは硬直した。
開いた出窓には、十星が座っていたのだ。
「こんばんは、チキちゃん」
相変わらずの冷たい笑みを浮かべている。
あたしは恐怖で動くことも声を出すこともできない。
「お見舞いにきたよ」
「手、痛そうだね……。
やりすぎちゃったかな」
十星はあたしから目も逸らさずに話し続ける。
「でもね、悪気はなかったんだ。まぁ、そのうちこの意味もわかるだろうけれど」
「あ……たしにっ、何の用」
やっとのことで声を出した。
「だからお見舞いだってば。ほら」
十星が指を鳴らすと、そこからラッパのようなピンク色の花が現れた。
「豪華じゃないけど、許してね」