怪盗ブログ
十星が急に立ち上がったので、あたしは驚いて後ずさった。
「大丈夫。多分、もう君の体を傷つけることはないから」
そう言うとあたしが掛けている布団の上から、ちょうど太ももの辺りにその花を置いた。
「その手も……
好きで折ったわけじゃないしね」
十星の手があたしの方に伸び、頭を引き寄せて額にキスをした。
あたしは驚いて左手で突き飛ばそうとしたけれど、十星は難なくかわし、出窓の外に足を投げ出して座ると
「おやすみ千季ちゃん」
そのまま窓の外に消えて行った。